廃棄物

SDGsビジネス|バングラデシュ✕廃棄物管理

廃棄物管理に関連したSDGsビジネスの構築を検討されている方に向けて、バングラデシュの廃棄物管理における課題と求められている技術・サービスについて紹介します。

関連するSDGs目標はいくつか考えられますが、野焼きや不法投棄など不適切な廃棄物管理という点では、目標11「住み続けられるまちづくりを」に関連し、それによる健康被害については目標3「すべての人に健康と福祉を」、環境への影響を考えれば目標6や目標14とも関連する分野です。

なかでも日本がこれまで推進してきた循環型社会という点では、目標12の「つくる責任つかう責任」との関連性が高いと考えられます。デロイトトーマツが2017年に行った試算によると、目標12には、218兆円の市場規模が潜在しているとのことです。具体的には、エコカー、エコ家電、リサイクル、食品ロス削減サービス、などを想定しているようです。

国際協力機関(JICA)は、日本企業の海外進出促進と途上国の社会課題解決を目的に、SDGsビジネスを支援しています。ただ、これまでの活用事例を見ると、途上国でのビジネスに取り組む企業は様々な問題に直面しているようです。(参考:JICA 「中小企業・SDGsビジネス支援事業」とは

SDGsビジネスの成功には、対象となる社会課題をどのように把握するかが重要と考えます。その点については別記事で解説していますので、よろしければそちらもご参考にしてみてください。(参考:SDGsビジネスに取り組む企業の皆様へ

1.現状

1-1.概要

バングラデシュのダッカ都市圏及びチッタゴン市等の都市部では、人口急増及び経済発展により、都市への人口集中や市街地の拡大が急速に進んでいます。表1が示す通り、更に今後も人口増加が継続すると見込まれていることから、都市化に伴うごみ量の増大、大気汚染、スラム拡大などの環境課題を最小化し、持続可能な開発を行うことが求められています。

現状、一人当たりが一日に排出するごみの量は、0.5kgほどですが、その内0.2kg分しか適切な処理場へ運搬されておらず、残りは何かしらの形で発生元において処理されてしまっている状況です。また発生元としては、全体の75.9%が家庭からとなっており、発生するごみの種類は図1が示す通りですが、75%が食品廃棄物と大半を占めています。

1-2.廃棄物管理

バングラデシュにおけるゴミ収集は、自治体(市)がその責務を担っています。ダッカであれば、Dhaka City Corporation (DCC)が、収集、運搬、処理を、全92の行政区において行っています。更にダッカは北と南に分かれており、北部(36行政区)をDhaka North City Cooperation(DNCC)が, 南部(56行政区)をDhaka South City Cooperation(DSCC)が管轄しています。

ダッカでは、収集されたゴミの全てがMatuailもしくはAmin Bazarの埋立地に送られます。2016-17には85万tのゴミが北ダッカ市によって処理されており、その量は前年比で24.8%増でした。

1-3.課題

増大し続けるごみ量及び狭隘な国土による最終処分場の逼迫が深刻な課題であり、ごみの減量や処理システムの改良が急務となっています。

その他の自治体においては、行政機関の実施体制の脆弱さ、機材の不足、住民の衛生意識の低さ等について依然として課題を抱えており、十分な廃棄物管理が行えていません。特に、拡大するダッカの市街地域におけるごみ収集・処分システムの整備の遅れが深刻です。

また、産業廃棄物、電子廃棄物処理については、関連規制はあるものの、運用は自治体に任されており徹底されていないため、一般ごみと混在している状況です。

特に医療廃棄物については、大規模病院には処理ルートが出来ていますが、中小規模病院、診療所の廃棄物処理は追い付いていません。

2.現地政府の政策

2-1.担当省庁

バングラデシュの廃棄物管理に関わる省庁は、以下の通りです。

  • 環境森林・気候変動省
  • 地方自治・農村開発・協同組合省
  • 自治体(市)

2-2.関連規制

バングラデシュでは、廃棄物の処理及び清掃に関する法律や、廃棄物管理に関するガイドラインなどは発達しておらず、一般廃棄物にかかる責任の所在や処理基準等については各地方自治体の条例に依拠している状況です。一方で、特定の種類の廃棄物に関しては、法律や規則が制定されています。

3.既存の取組

3ー1.現地政府

各自治体が主体となり、固形廃棄物管理に関する取組を様々試みているものの、市民の認識の低さが障害となり成功した事例は少ないと言えます。例えば、北・南ダッカ市は2016年に約6,000個のゴミ箱を街中に配置しましたが、1年経過しても市民の間で浸透することはなく失敗に終わりました。

3ー2.ドナー機関

JICAはダッカにおいて過去約20年に亘り、一般ごみの収集、運搬、最終処分の仕組みづくりを支援し、収集率については大幅に改善しました。現在は、「南北ダッカ市及びチッタゴン市廃棄物管理能力強化プロジェクト」と「中核都市機能強化プロジェクト」の2件を実施中です。

アジア開発銀行は、2010年から 2017年の期間で、ダッカおよび主要5都市(チッタゴン、ボリシャル、クルナ、ラッシャヒ、シレット市)を対象に中継施設(Secondary Transfer Station, STS)の整備を行いました。その他、啓発活動、処分場支援(南北ダッカ市を除く)を含むプロジェクト「UPEHSDP (Urban Public and Environmental Health Sector Development Project)」を実施しています。

3-3.民間

本邦企業による取組としては、JICAの支援事業を活用した事例として、バングラデシュの廃棄物管理に関する技術の導入を試みた案件が過去に3件あり、その内1件は現在実施中で、廃棄物圧縮貯留システムの導入を目指しています。

4.求められている技術

JICAが開発課題の解決に資する「活用が想定される製品・技術・ノウハウ」を紹介しており、それによるとバングラデシュの廃棄物管理に関しては、以下のような廃棄物処理技術やリサイクル技術が求められています。

  • 産業廃棄物(E-Waste含む)の適正処理に資する製品や技術、
  • 最終処分場への廃棄物搬入量削減を目的とした焼却処理、
  • バイオガスダイジェスター等のWaste to Energy(WTE)及び3Rの各技術、
  • 廃棄物収集効率化のための各種機材

廃棄物管理の分野では、ベトナムにおける課題、特に海洋プラスチックについても取り上げていますので、そちらも参考にして頂ければ幸いです。(参考:SDGsビジネス|ベトナム✕廃棄物(海洋プラスチック)

SDGsビジネスについて特定の国・セクターにおけるポテンシャル(社会課題・ニーズ)を調査するとともに、海外での事業を進めるうえでいくつか事前の準備が必要となります。特に、初めて海外事業に挑戦される企業の方はこちらも参考にしてみてください(企業が海外進出をするために必要な事前準備)。

投稿者

naginishi@gmail.com
開発コンサルタントとして、途上国の産業開発分野の案件に従事。前職での海外ビジネス経験を活かして、SDGsビジネスの創出に取り組む。